MISSION
ISIDがさらなる成長をとげ、社会的責任を果たしていくためには、現在の主力事業を進化させていくことはもちろん、従来の延長線上にない新たなビジネスを創り出していくことが求められています。2022年度よりスタートした中期経営計画「ISID X Innovation 2024」においても、先端テクノロジーの研究開発と全社での活用、電通グループとも連携した新たな事業創造を成長の基軸に据えています。このミッションを担うのが「X(クロス)イノベーション本部」(以下、XI本部)です。
XI本部は、オープンイノベーションや先端技術開発、新規事業開発を担う部署が結集している全社横断型組織です。ISIDグループの研究開発活動をさらに強化するとともに、その研究成果やビジネスアイデアの事業化ならびに既存事業分野とのシナジー創出をより一層加速させています。ISIDは、まだ世の中でオープンイノベーションという概念が浸透していなかった10年以上前に「オープンイノベーションラボ(イノラボ)」を起ち上げ、社外と連携しながら最新技術を駆使したユニークなサービスを続々と開発し、社会に発信してきました。また、早くからディープラーニングをはじめとするAI技術やVR(仮想現実)・AR(拡張現実)などのxR技術の活用に取り組み、豊富な知見を蓄積しています。UXデザインやクラウド活用など、今後当たり前に求められてくる技術領域にも専門家が多数在籍し、高い知見を有しています。こうした強みをベースにして、次代に向けた新規事業を創出しています。
スピード感をもって新規事業創出に挑むべく、XI本部では社内外を巻き込んだ施策を幅広く繰り広げています。たとえば、技術領域ごとにスペシャリストを集約した組織(センター)を設置し、各事業部門とコラボレーションすることで新たな強みを創り出しています。AI技術に関しては「AI トランスフォーメーションセンター」を設置、日本の大きな課題である製造業のDXに向けて、先端アルゴリズムを活用した自社製品の開発や既存ソリューションへのAIの適応、AI人材育成支援などを行っています。xR領域では「エンタープライズXRセンター」を設立。VR・ARを活用したソリューションの開発やメタバースへの取り組みを推進しています。ISIDの社内デザインブティックである「UXデザインセンター」では、業務システムのUX・UI設計からビジネス・事業のデザインまで、デザイン思考を活用してサービスを展開しています。
各センターのミッションの他にも、XI本部は高い技術力と知見を活かしたイノベーション推進活動を行っています。例えば、ボトムアップでの新規事業推進プログラムである「XIW(X Innovation Workshop)」を定期的に開催。ISID社員であればだれでも、新規事業の創出に向けて提言をしていくことができる仕組みを運用しています。また、XI本部と各事業セグメントのディスカッションにより、事業側の課題を先端技術で解決する活動「Tech SWATチーム」を組成、各事業部と定期的に連携し、技術力でISIDの取り組みをアップデートする活動を続けています。
XI本部には、新規事業のシーズを発掘するだけでなく、社会と顧客のニーズをくみ取って次の事業の柱を育成する、事業化フェーズの取り組みも多数存在します。
例えば、2021年7月に「スマートソサエティセンター」を設立し、自治体・都市向けのソリューションの開発・展開を推進しています。昨今注目が集まるスマートシティ構想や街全体のデジタル化の流れを背景に、都市OSや、自治体と住民のコミュニケーションと合意形成を促すプラットフォームなどISID独自のソリューションを展開しているほか、これも日本社会の大きな課題である自治体の業務そのもののDXに向けて、日本各地の電通グループのネットワークを活かして価値提供をはじめています。
同じく2021年に設立された「デジタルエンゲージメントセンター」では、電通グループと協業した顧客接点改革事業を推進。顧客体験設計が得意な電通・電通デジタルと、システム開発・実装が得意なISIDがタッグを組んで、マーケティングプラットフォームをはじめとする顧客接点領域で、すでに大きな実績を上げています。また、「エンタープライズプラットフォームセンター」では独自の開発基盤「aiuola(アイウォーラ)」を開発・運用しており、「aiuola」から生まれた会計ソリューション「Ci*X(サイクロス)」シリーズは立ち上げ当初から高い汎用性と優れたUXで高評価を得るなど、スピーディで完成度の高い自社製品開発を行っています。
これらはまさに、ISIDの次の事業の柱となる取り組み。既存事業にとらわれず、非連続的な成長に向けて、多方面での挑戦を続けています。
私たちは企業理念にあるように、テクノロジーありきのサービス開発ではなく、「顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与する」ことを大切にしています。特に近年では“社会課題の解決”や“これまでになかった新しい価値をもたらす”サービスの開発を多く手掛けています。XI本部が先日リリースしたのが、AI技術とロボット技術を活用した「動く家具」「動く植栽」。人の位置や流れをAIが判断し、最適な家具や植栽のレイアウトをロボットが自動的に行うシステムで、エコで快適な環境の実現に貢献します。また、ヘルスケア領域にも注力しており、たとえば幻肢痛(怪我や病気で四肢を切断した方が、存在しない手足に痛みを感じる脳の症状)の患者さんに向けて、VRを活用して遠隔地でセラピーを行うシステムも研究開発しています。2021年にグッドデザイン賞を受賞するなど、社外からも高く評価されています。ほかにも、多摩美術大学と協業し、「デザイン×テクノロジー」でどのように行動変容を促し、サステナブルな社会への切り口を模索するなど、未来志向の取り組みも強めています。
XI本部が挑む事業創出のフィールドに制限はありません。社会が抱える課題を解決するものであれば、ISIDや電通グループが抱える豊富なリソースを自在に活用して何でもチャレンジできる。XI本部がいま取り組んでいるのは、SIerの枠を超えた、新たなISIDを創り出していく挑戦でもあります。それを魅力に感じてくださる方を新たな仲間として迎え入れ、社会を変えていく醍醐味を共有できればと考えています。